パッケージの「最大18000Mbps」でも、実測はその10分の1以下。騙されているわけではありません。数字の意味を知らないだけです。ルーター診断で使っている数字の根拠を全部説明します。
WSR-5400AX6、Archer AX5400、RT-AX5400……各社の型番に入っている数字は、「そのルーターが持つ全部の電波帯域の最大速度を合計した値」です。
| 帯域(5400クラスの例) | 規格上の最大 |
|---|---|
| 5GHz帯 | 4803Mbps |
| 2.4GHz帯 | 573Mbps |
| 合計 | 約5400Mbps |
この表記は業界全体の慣習で、どのメーカーも同じ数え方をしています。だから「型番の数字が大きい=多帯域の合計が大きい」という比較には使えます。ただし「自分のスマホがその速度で繋がる」という意味ではない、と知っておくことが大事です。
Wi-Fiは複数の電波の流れ(ストリーム)を束ねて通信します。道路の車線のイメージです。ルーターの仕様にある「4×4」「2×2」はこの車線数のこと。
| 端末の世代 | 理論値(2ストリーム) |
|---|---|
| Wi-Fi 7(320MHz対応) | 2882Mbps |
| Wi-Fi 6 / 6E(160MHz) | 2402Mbps |
| Wi-Fi 5(80MHz) | 867Mbps |
| Wi-Fi 4 | 300Mbps |
ルーター診断の「端末別の速度理論値」はこの表が根拠です。
Wi-Fi 6の2×2スマホで使う限り、5400クラス(4×4)のルーターでも→2402Mbps、3000クラス(2×2)のルーターでも→2402Mbps。理論値はまったく同じです。速度が実際に上がるのは次の3つだけ:
① 世代が上がる(Wi-Fi 5→6で867→2402、6→7で2402→2882)
② WANポートが速くなる(1G→2.5G/10G。高速プランを活かせる)
③ 6GHz帯対応になる(Wi-Fi 6E/7。混雑を避けられる=実測が安定)
じゃあ4×4の上位機種は無意味かというと、そうではありません。車線が多い=複数の端末が同時に使っても渋滞しにくい。家族が多い・端末が多い家では、最大速度ではなく「混雑耐性」として効きます。
規格値も2ストリーム理論値も「規格上の上限」であって、実測はそこから必ず下がります。主な理由は5つ。
電波は距離で減衰し、壁・床・家具で遮られます。特に5GHz/6GHzは障害物に弱い。ルーターの隣で測るのと、2階の部屋で測るのとでは、数倍の差が出ることも普通です。
近隣のWi-Fi、電子レンジ、Bluetooth。特に2.4GHz帯は混雑がひどく、実測の天井は200Mbps前後と考えておくのが現実的です(規格値がいくつでも)。5GHz(A)と2.4GHz(G)の使い分けを知っておくと、この干渉はかなり避けられます。
同じWi-Fi 6端末でも、アンテナ設計や発熱制御で実測は変わります。スマホは発熱するとあえて速度を落とす(サーマルスロットリング)こともあります。
理論値は電波上の生の転送レート。実際の通信には制御情報・再送・暗号化の「荷物以外の重さ」が乗るため、条件が完璧でも理論値の4〜6割程度が実測の上限で、実際の家庭では3〜5割(世代が新しいほど高い)に落ち着きます。
そもそも回線契約が1Gプランなら、Wi-Fiがどれだけ速くても1Gbpsで頭打ち。逆に10GプランでもルーターのWANポートが1Gなら1Gbpsで頭打ち。「回線・WANポート・Wi-Fi・端末」の一番遅いところが全体の上限になります。
見落とされがちですが、Wi-Fiの速度はルーター(親機)と、受け取る側のパソコン・スマホ(子機)の組み合わせで決まります。通信は必ず低いほうの世代に揃うため、ルーターだけ最新のWi-Fi 7にしても、パソコンの内蔵Wi-FiがWi-Fi 4のままなら、速度はWi-Fi 4のままです。逆(パソコンだけ新しい)も同じです。
Windows:設定 → ネットワークとインターネット → Wi-Fi → 接続中のWi-Fiのプロパティ → 下のほうの「プロトコル」欄。表記の読み方は:Wi-Fi 7(802.11be)/Wi-Fi 6(802.11ax)/Wi-Fi 5(802.11ac)/Wi-Fi 4(802.11n)。ここがWi-Fi 4・5なら、子機が天井になっている可能性が高いです。
同じ画面の「説明」欄には子機(内蔵Wi-Fi)の型番、「集計リンク速度 (送受信)」には今のリンク速度が出ます(例:1201/1201 Mbps=Wi-Fi 6の2ストリーム・80MHzで正常に繋がっている状態)。有線の確認方法(LANケーブルとリンク速度の真実)と同じ場所なので、セットで覚えておくと便利です。スマホは設定からは確認しづらいので「機種名+Wi-Fi 規格」で検索するのが早道です。
ルーター本体の型番をルーター検索に入れると、世代・実効速度の目安・ポート速度まで確認できます。
機種も配線も問題ないのに、特定の測定サイトだけ極端に遅いときは端末側の設定が原因のことがあります。→ 測定サイトで結果が違うのはなぜ?
子機が古い場合は、パソコンを買い替えなくてもUSBのWi-Fi子機を挿すだけで世代を上げられます。親機側の場合も、いまはWi-Fi 6対応が数千円からあります。
Wi-Fi 6対応 USB子機Amazon楽天→ 親機ごと替えるならルーター検索へ(世代・ポートで絞り込み)
・型番の数字は全バンド合計。1台の端末がその速度で繋がることはない
・端末はほぼ2ストリーム。同世代の上位機種に替えても最大速度は同じ。効くのは世代アップ・WAN強化・6GHz対応
・理論値は上限であって実測ではない。距離・干渉・端末・オーバーヘッドで下がるのが正常
・迷ったら有線で測って比べる。ボトルネックの切り分けが最優先