さがす 測定 ルーター
解説記事

測定サイトで
結果が違うのはなぜ?

端末側の天井

同じ回線を測っているのに、サイトによって3Gbpsだったり600Mbpsだったり。おもな理由は相手のサーバーまでの距離で、どちらも壊れてはいません。ただし近いサーバーだけ極端に速いときは、端末側に直せる原因があります。その見分け方まで書きます。

同じ回線なのに、測定サイトで数字が違う

速度測定サイトを2つ3つ試すと、結果がそろわないことがあります。片方では4Gbps以上出ているのに、もう片方では600Mbps。どちらかが壊れているように見えますが、両方とも正しく測っていることのほうが多いです。

いちばん大きいのは相手のサーバーまでの距離です(測り方の細かい違いもありますが、そこはサイト側の作りの話です)。近いサーバーを使うサイトほど大きい数字が出ます。

そして、この差が極端に開いているとき——近いサーバーだけ速く、遠いサーバーだと何分の1にもなるとき——は、パソコン側に直せる原因があることがあります。

速度は「1回に送れる量 ÷ 往復にかかる時間」で決まる

通信は、送ったら相手の受け取り確認を待つ、の繰り返しです。返事を待たずに続けて送れる量には上限があり、これをウィンドウと呼びます。1本の通信の速さは、おおよそ次の式になります。

1本の通信の速さ = 1回に送れる量 ÷ 往復にかかる時間

送れる量が同じでも、相手が遠いほど遅くなります。往復に時間がかかるぶん、待っている割合が増えるからです。

この上限は、本来なら通信しながら自動で広がっていきます。相手が遠ければ広く、近ければそこそこに、といった具合に調整されます。この自動調整が止まっていると、上限が小さいまま固定されます。近い相手なら回数で稼げるので気づきませんが、遠い相手だけ極端に遅くなります。

近いサーバーだけ速く出る理由

同じ端末で、設定を直す前に FAST.COM を測ると 4.5Gbps 出ていました。このときつながっていたサーバーはその端末から見て至近で、往復はわずか1ms。一方、東京の測定サーバーまでは13msです。

FAST.COM や Speedtest(Ookla)のように、使えるサーバーが各地にたくさんあるサービスでは、測る人に近いサーバーが選ばれます。近い相手を測れるのは設備が広く行き渡っているからで、その数字は正確です。マジめたは東京にサーバーを置いているので、住んでいる場所によっては遠い相手になります。

相手のサーバー往復測定結果
いちばん近いサーバー1ms約4.5 Gbps
東京の測定サーバー13ms約630 Mbps

距離が13分の1なら、その分だけ速く出ます。1回に送れる量が細いままでも、相手が近ければ待ち時間が短いので取り返せてしまいます。4.5Gbpsという数字自体は正しい測定結果で、「近所までなら4.5Gbps出る」という事実を表しています。

一方で、東京のサーバー相手でも大きい数字が出ている人はいます。同じ時期・同じ回線会社の別の利用者は、同じ東京のサーバーに対して 5,991Mbps・6,651Mbps を出しています。距離という条件は同じで、この差です。
見分け方は2つ
① 近いサーバーだけ速い

回線会社が用意している測定ページや、動画配信サービスの測定ツールでは何Gbpsも出るのに、ほかの測定サイトだけ数百Mbpsに落ちる。この形が出たら、1回に送れる量が小さいまま固定されている可能性があります。

② 測定中のグラフがまっすぐ平ら

混雑やパケットの取りこぼしで遅くなっている場合、速度は上がったり落ちたりを繰り返し、グラフはノコギリのような形になります。まっすぐ平らな線は「上限で頭打ち」の形です。この端末の測定では、下りが620〜633Mbpsの範囲でほぼ一直線でした。

回線そのものが細いなら、そもそもどのサイトでも遅いはずです。近い相手だけ速いなら、回線ではなく端末や宅内側に天井があると考えられます。

Windowsでの確認と直し方

Windows には「TCP受信ウィンドウ自動チューニング」という設定があります。これが無効になっていると、1回に送れる量が広がらず、遠い相手だけ極端に遅くなります。

確認する

コマンドプロンプトで次を実行し、「受信ウィンドウ自動チューニング レベル」の欄を見ます。

netsh int tcp show global

normal 以外(disabled・restricted・highlyrestricted)になっていたら、これが原因の可能性があります。

戻す

管理者として実行したコマンドプロンプトで次を実行します。

netsh int tcp set global autotuninglevel=normal
実際の変化

この記事で挙げている端末では、この1行で 約630Mbps → 約4,200Mbps になりました。設定を戻したあとの測定記録は 4,244.9Mbps・4,297.8Mbps です。測定サイト側は何も変更していません

変更は自己責任でお願いします。元の値を控えてから実行してください。戻すときは、控えた値を autotuninglevel= のうしろに入れて同じコマンドを実行します。

この設定を「回線高速化」として無効にすることを勧めている記事やツールがあります。古い環境ではそれで改善する場合もあったようですが、いまの高速回線では逆効果になりやすいです。心当たりがあれば確認してみてください。

同じ症状でも、原因が別のことがあります

「近いサーバーだけ速い」という形になる原因は、ほかにもあります。上のコマンドで変わらなかったときは、次を順に試してください。

候補確かめ方
セキュリティソフトのネットワーク保護
通信を検査する機能が、自動調整を実質的に無効化してしまうことがあります
一時停止してから測る
ルーターのQoS(優先度の振り分け)
通信の中身を見て優先度を決めるタイプだと、動画配信サービスは上位に、測定サイトは「その他」に振り分けられることがあります
QoSを切ってから測る。機種によってはQoSを有効にすると処理が重くなり、それ自体で頭打ちになることもあります
宅内で必ず通る機器
ルーターやホームゲートウェイの一部の機能が、通信の設定を書き換えていることがあります
別の機器を直接つないで測る
ここに挙げた数字は、条件がそろった1件の記録から取っています。同じ症状でも原因は環境ごとに違うので、「あなたも必ずこれ」という話ではありません。切り分けの順番として使ってください。
まとめ

測定サイトで数字が違うのは、おもに相手のサーバーまでの距離が違うからです。どれかが壊れているわけではないので、数字の大小を並べて悩む必要はありません。

見るべきなのは、近いサーバーと遠いサーバーの差が極端かどうかです。近い相手だけ何Gbpsも出て、ほかは何分の1にもなる——この形が出たときは、回線ではなく端末や宅内側に天井がある可能性があります。設定1つで6倍以上変わることもあります。

自分の回線を測ってみる →
Ping・下り・上り、約30秒。測定中の推移も出るので、グラフがまっすぐ平らかどうかも確認できます

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