IPv4とIPv6は、インターネット上の「住所の書き方」が2種類あるという話です。難しい名前が付いていますが、回線を選ぶときに知っておきたいのは次の3つくらいです。
そして、回線会社の案内に出てくる「IPv6対応」という言葉は、中身が1つではありません。ここがいちばん混乱するところなので、この記事では中身の見分け方まで書いています。
インターネットにつながる機械には、1台ずつ住所が割り当てられます。この住所の書き方が IPv4 で、192.168.1.1 のように数字を4つ並べた形です。作られたのは1980年代で、用意された住所はおよそ43億個でした。
パソコンだけの時代はそれで足りていましたが、スマホ・ゲーム機・テレビ・見守りカメラと、1人が何台も持つようになって足りなくなりました。そこで住所の桁を大幅に増やしたのが IPv6 です。2001:db8:1234::1 のような書き方になります。
IPv6の個数は「340澗(かん)」と書かれることがあります。読み方が分からなくて当然の単位で、要するに数え切れない量が用意された、くらいの理解で困りません。
IPv6ができたからといって、世界中のサイトが一斉に引っ越したわけではありません。IPv6にしか対応していないサイトもあれば、IPv4のままのサイトもあります。そこで多くの回線では、IPv4とIPv6の両方を同時に使えるようにしてあります。これをデュアルスタックと呼びます。会社の案内に出てくる言葉です。
どちらを使うかは、開いたサイトに合わせて自動で決まります。利用する側が切り替える操作はふつう必要ありません。
よく使うサービスが IPv6 でも行けるのかを、2026年9月14日に実際に調べた結果です。
それでも傾向ははっきりしていて、ゲーム関係はIPv4のままのものが多いという結果でした。「IPv6にしたのにゲームでは変わらない」「むしろ調子が悪くなった」という話が出てくる背景には、この事情もあります。くわしくはIPv6にしたのにゲームだけ不調なときにまとめています。
ここが、回線を比べるときにいちばん食い違うところです。会社の案内に「IPv6対応」とあっても、実際の作りは大きく3つに分かれます。
名前が違うだけでなく、必要な機器も、ゲームでの振る舞いも変わります。たとえばケーブルテレビ会社の方式では、市販ルーターの対応・非対応が分かれます。うちで4機種を実際につないで確かめた結果はこちらの記事にまとめています。
PPPoE では、同じプロバイダーの契約者が同じ門を通ってインターネットへ出ます。この門のことを網終端装置と呼びます。門の数は決まっていて、通る人が増えれば当然そこで待ちが出ます。夜9時ごろに遅くなるのは、たいていここです。
門が混んでいるだけなので、回線を1Gから10Gに変えても、ここが詰まっていれば速くなりません。「プランを上げたのに変わらない」という話の原因がこれのことがあります。
IPoE は、この門を経由せずにインターネットへ出ます。門の混雑をそのまま飛ばせるので、夜の落ち込みが小さくなります。「IPv6にしたら夜が速くなった」と言われるのは、正確には「IPoE になったから」です。
会社の案内では「v6プラス」「transix」「IPv6オプション」「バーチャルコネクト」など、名前がばらばらです。呼び名は違っても、どれも IPoE の仲間だと思って読んで大丈夫です。
同じ「IPoE対応」でも、IPv6だけが IPoE なのか、IPv4 まで IPoE なのかで中身が変わります。ここを分けて書いている案内はあまりありません。
①が多数派です。フレッツ光や光コラボで「v6プラス」「transix」「バーチャルコネクト」と呼ばれているものは、IPv6 は専用の入口を通り、IPv4 は他の人と住所を分け合う形です。この相乗り(CGNAT・IPv4共有)が、対戦ゲームのP2Pやポート開放で引っかかる原因になります。
②は、自社のネットワークを持っている会社に見られます。たとえば静岡県の TOKAIケーブルネットワーク は、公式に「IPv4 over IPv6 を使用せずに IPv4 でも IPoE 方式で接続することが可能」と書いています。相乗りしないので、①で起きる困りごとが起きません。
どれが正解ということはありません。動画やWebが中心なら IPoE(IPv6だけ)で十分ですし、対戦ゲームやポート開放を使うなら IPv4 がどうなっているかを見たほうがいい、というだけです。くわしくはIPv6にしたのにゲームだけ不調なときとグローバルIPって何?にまとめています。
回線会社の案内を読むと、説明なしで出てくる言葉があります。意味だけ置いておきます。
/64 と /56 は、家に配られる住所の「区画の広さ」のようなものです。/56 のほうが広く、家の中をいくつかのネットワークに分けたいときに効いてきます。ふつうの使い方では /64 で足ります。
「IPv6にしたら速くなった」という話をよく見かけますが、住所の書き方が変わったから速くなったわけではありません。フレッツ光系で速くなったと言われるのは、IPv6と一緒に IPoE という別の入口を通るようになるからです。その仕組みは上の「PPPoE は「門」で詰まる」と「IPoE は門を通らない」で図にしています。
ケーブルテレビ会社のように、もともとIPoEという言葉を使わない回線もあります。その場合は「IPv6に対応したから速くなる」という関係にはなりません。
IPv4の住所が足りないので、いまは1つの住所を複数の家で分け合うやり方が広く使われています。速度には出にくいのですが、対戦ゲームのマッチングやポート開放では、この分け合いが問題になることがあります。
仕組みと確かめ方は、それぞれ別の記事にしています。P2P通信とNATの関係/ゲームだけ繋がらない原因の見つけ方/IPv6にしたのにゲームだけ不調なとき。
「契約ではIPv6のはずなのに、実際はIPv4で通信していた」という食い違いもあります。1番はそれを見るためのページです。